
今回は2025年2月22日、明治安田J1リーグ第2節、名古屋vs神戸81分のシーンを取り上げます。
連続で神戸戦をピックアップしていますが、たまたま私が気になったシーンが神戸戦にあっただけのことで、ヴィッセル神戸には何の恨みもありません。
VARがプレーをさかのぼって確認する起点となる、APPに関係してくる事象だと思ったので取り上げました。
- まずはプレーを見てみましょう
- ペナルティーエリア内のファウルは明らかだが……
- その前にゴールラインを割っていたのでは?
- VARはどこまでさかのぼれるのか?
- APPとは?
- 今回の事象のAPPの起点は……
- 実際、クロスボールはゴールラインを割っていたのか?
まずはプレーを見てみましょう
2025明治安田J1リーグ第2節、名古屋vs神戸81分のシーンです。
神戸の武藤が上げたクロスボールをキャッチした名古屋GK武田が、左サイドのマテウスに展開すると、マテウスが一人かわしてクロスを入れ、これが逆サイドから入ってきた浅野に通り、フェイントで切り返したところで日高に倒され、PKとなりました。
ペナルティーエリア内のファウルは明らかだが……
日高が完全に浅野の足をかけてしまいましたので、これがファウルであるのは異論ないでしょう。

ファウルがあったときの状況をDOGSOの4要件で確認すると、
- ゴールまでの距離:◯
- プレーの方向:◯
- ボールコントロール:◯
- 守備側競技者の位置と数:▲
となり、DOGSOにはあたりません。SPA相当で、ペナルティーエリア内でボールにプレーしようとした結果のファウルなので、懲戒罰が一段階下がり、ノーカードとなります。

その前にゴールラインを割っていたのでは?
武田が武藤のクロスボールをキャッチする直前、名古屋のDFがデフレクトしており、クロスボールはラインを割っていたのではないか。そうであればここで判定は名古屋のコーナーキック。PKは取り消されるのではないか。
……というのが神戸サポーターの主張で、「主審・副審がこれを見逃している」「VARはなぜ介入しないのか」といった意見がX上に挙げられています。

VARはどこまでさかのぼれるのか?
PKかどうかなので、VARが介入する4事象にあたりますから、当然VARはリプレイ映像の確認を行います。

ただし、ここで「VARがさかのぼって確認するのはどこからなのか」という問題が生じます。
当然ながらキックオフからということではないですし、直前のプレー再開からというわけでもありません。VARによるリプレイ確認で長時間ゲームが止まることは避けなければなりませんから、可能な限り最小限で確認を行っていく必要があります。
APPとは?
VARがプレーを確認するときの起点となるのがAPPです。
APP=Attacking Possession Phase (アタッキング・ポゼッション・フェーズ)の略で、攻撃側チームがボールを保持し攻撃に移る局面のことです。
相手ゴールに向かって攻撃が始まったときがAPPの開始で、自チームがボールを保持した瞬間ではありません。
VARは、得点、PK、退場となる事象が起きたときに どこまで遡って映像をチェックするか記憶させておくために、試合中、APPのタグ付けを行っています。

相手選手がセーブやクリア、ディフレクションなどの不可避的な動作を行ったとしても、APPはただちに終わらず、ボールロストやインターセプトなどでボールを失ったときにAPPは終了します。そして、相手チームが攻撃を始めると次のAPPに移ります。
今回の事象のAPPの起点は……
つまり、今回の事象の場合、APPの起点はGK武田選手が武藤選手のクロスボールをキャッチしたときではなく、マテウス選手が攻撃を始めたとき。

よって、VARは武藤選手のクロスボールがゴールラインを割っていたかどうかは確認していないと考えられます。
実際、クロスボールはゴールラインを割っていたのか?
私がDAZNの中継映像を見る限りでは分かりませんでした。ラインを割ったかどうかは、ラインキープをしていないと確認できないので、少なくともゴールラインカメラの映像を見ないとはっきりしたことは言えません。
しかし、X上のこちらの投稿を見る限り、このとき副審は、きちんとゴールラインキープをしていることが分かります。
明確な画像はなくて申し訳ないです。
— ぼん (@koqubo) 2025年2月23日
他の方の動画を拝借してアップしてみたのですがどうでしょう?GKキャッチまでいくと手前の選手に隠れて見えなくなります。
ポストを基準にすると出てるように見えます。
ただ角度によって見え方は変わりますしね… pic.twitter.com/gMSG53oVFa
この位置・態勢で見ている副審が「ゴールラインを割っていない」という判断をしているなら、ゴールラインを割っていなかったのでしょう。ご承知の通り、サッカーではボールの全部がゴールラインの外に出たときに「ゴールラインを割った」と判定されます。たとえ選手が激しくアピールしていても判断するのは審判員ですし、サッカーでは最終的な判定権限は主審にありますから、主審が割っていないと言えば、割っていないとして進めるのがサッカーのルールです。