
公認野球規則2026改正で大きな変更点となる、ハイブリッドポジションの導入。
今回は、なぜこのような改正が行われることになったのか。
その発端と背景を整理します。
新シーズン開始前に、「なぜこのルールが必要になったのか」を整理するための材料として、目を通してもらえると幸いです。
※公認野球規則2026年改正の全体像については、別記事で整理しています。
→ 公認野球規則2026改正まとめ
事の発端はバウアー事件
発端となったのは、2025年3月9日のバウアー投手の投球動作がボークと判定されたことです。 それゆえ、この一件を受けて 一部報道では「バウアールール」とも 呼ばれています。
▶ 補足解説
当日の判定理由や、なぜバウアー投手が強く抗議する事態になったのかについては、こちらで詳しく整理しています。
→ バウアー投手の投球動作とボーク判定の背景(2025年3月9日)
当日の試合で、2回、2アウト走者三塁でバウアー投手は体の前で両手を合わせ、 セットポジションともワインドアップポジションとも解釈できる、このような足の動かし方をしました。

審判員は、「セットポジションからワインドアップポジションに投球動作を変更した」と判断し、ボークを宣告しました。
一方、投球動作を始める前に、バウアー投手は「ワインドアップで投げる」ことを申告していました。そのため、ボークの判定に納得がいかず、審判団がボークの理由を説明するため、5分間ほど中断となりました。
なんと日米でルール本文の記載が違っていた!
実は、MLBではこのように申告すれば、自由な足を前方においてもワインドアップポジションとして投球することができることがルール化されていたのですが、日本の公認野球規則ではこのルールが盛り込まれていなかったのです。
日本の公認野球規則は原典であるMLBの「Official Baseball Rules」を忠実に翻訳したルールを掲載することをモットーとしています。もちろん、日米で適用に違いのあるルールは現実にいくつかありますが、その場合、原典のルールを掲載した上で、日本独自に【注】を設けて、「我が国では、このルールはこのように適用する」と説明を加えるのが一般的です。
ところがこのルールは、本来記載のあるべき規則5.07(a)(2) の項目に、関係する記載がすっぽり抜け落ちていました。
MLBの「Official Baseball Rules」にハイブリッドポジションに関するルールが掲載されたのは2017年のこと。本来ならば日本では、1年遅れで2018年に追従改正されて適用となるはずなのですが、実に8年遅れでの改正となりました。
なぜすっぽり抜け落ちていたの?
今のところ、抜け落ちていた理由について日本野球規則委員会から公式の説明はされていません。
もちろん2018年にも公認野球規則の改正は行われていて、申告敬遠などが2017年のMLBでのルール改正を受けて追従改正されています。
▼2018年度 野球規則改正 | NPBからのお知らせ | NPB.jp 日本野球機構
https://npb.jp/npb/2018rules.html
このような手続きでルール改正が行われているので、日本野球規則委員会は前年のMLBでのルール改正の内容を当然把握しています。それにもかかわらずすっぽり抜け落ちてしまったとなると、考えられるのは、
- 本当にここだけ忘れていた
- 投球動作に関するルールが煩雑になるのを嫌って、改正があったのは承知していても、”あえて”日本のルールに掲載しなかった
のどちらかと想像します。
まとめ
今回のハイブリッドポジション導入は、MLBでは2017年からすでに明文化されていたルールが、日本では2026年になってようやく追従改正されたものです。
そのきっかけとなったのがバウアー事件であり、その結果、本来あるべきルールが日本の規則本文から抜け落ちていたことが可視化されることとなりました。
今回の改正によって、投球姿勢を「足の置き方」だけでなく、投手の事前の意思表示(申告)を含めて整理するという考え方が明文化されたことになります。
▼ 関連記事(ハイブリッドポジション解説シリーズ)
- ①【野球規則2026改正】ハイブリッドポジション導入の背景とバウアー事件
- ②【野球規則2026改正】ハイブリッドポジションとは何か ― ワインドアップ/セットポジションの定義から整理する
- ③【野球規則2026改正】ハイブリッドポジションの「運用」 ― 実際の試合ではどう扱われるのか
※ハイブリッドポジションは、公認野球規則2026年改正の一項目です。
改正全体については、以下の記事で整理しています。
→ 公認野球規則2026改正まとめ