
今回は2025年3月5日、アジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)決勝トーナメント1回戦第1戦、上海申花vs川崎F33分のシーンを取り上げます。
パッと見ただけでは、どうしてオフサイドなのか分かりづらいこのシーンについて、オフサイドの判定なのにオンフィールドレビューも行われた理由も含めて解説します。
- まずはプレーを見てみましょう
- オフサイドとは?
- 相手競技者からのボールなのにオフサイド?
- オフサイドの判断なのに主審がオンフィールドレビューしたわけは
- 「意図的なプレー」なのか、「ディフレクション」なのか
- まとめ
まずはプレーを見てみましょう
ACLE決勝トーナメント1回戦第1戦、上海申花vs川崎F33分のシーンのシーンです。
上海申花ゴール前の混戦の中から河原がパスを出すと、イブラヒム・アマドゥがこれに対応しますが、ボールは脇坂の前にこぼれ、脇坂がシュートを決めました。しかしここでVARが介入し、OFRの結果、脇坂がオフサイドだったとして得点は認められませんでした。
オフサイドとは?
サッカーでしばしば発生する反則ですが、そのルールを理解するのは難解とされるオフサイド。
オフサイドポジションにいる選手が、そこにいたことで利益があったと主審に判断されると、「オフサイド」の反則となります。
具体的にはどういうことかというと、次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっている場合が反則になりです。
- 味方競技者がパスした、もしくは触れたボールをプレーする、または触れることによってプレーを妨害する
- 明らかに相手競技者の視線をさえぎることによって、相手競技者がボールをプレーする、もしくは、プレーする可能性を妨げる
- ボールに向かうことで相手競技者にチャレンジする
- 自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える
- 相手競技者がボールをプレーする可能性に明らかに影響を与えるような明白な行動をとる
- ボールが、ゴールポスト、クロスバー、審判員もしくは相手競技者からはね返った、または当たって方向が変わってきた、あるいは相手競技者によって意図的にセーブされ、そのボールをプレーして利益を得た
しかし、相手競技者が意図的にプレーしたボール(相手競技者が意図的なハンドの反則を行った場合を含む、意図的なセーブからのボールを除く)をオフサイドポジションにいる選手が受けたときは、オフサイドの反則にはなりません。
▼オフサイドについてざっくりと知りたい方はコチラを。
相手競技者からのボールなのにオフサイド?
Xでの反応を見てみると、「どこがオフサイドなのか」という疑問の投稿が多く見られました。
脇坂のシュートの直前に触れたのは上海申花の選手です。相手競技者が触れたボールはオフサイドポジションにいてもオフサイドの反則にはならないはずなのに、と思った人は多かったことと思います。

そういうわけで、パッと見ただけではオフサイドになる理由が分かりにくいプレーだったと思います。
先ほどオフサイドの反則となる場合にも列記しましたが、直前に相手競技者が触れたボールでも、次のような場合、オフサイドポジションにいた選手がプレーにかかわるとオフサイドの反則になります。
- 相手競技者からはね返った、または当たって方向が変わってきたボールにプレーして利益を得た
- 相手競技者によって意図的にセーブされ、そのボールをプレーして利益を得た
オフサイドの判断なのに主審がオンフィールドレビューしたわけは
今回脇坂選手は、河原選手がパスを出した時には確かにオフサイドポジションにいました。

プレーに関わった攻撃側選手がオフサイドポジションにいた事実だけでオフサイドと判断できるなら、通常はVARオンリーレビューとなるところです。しかし、今回は、主審がリプレイ映像を確認するオンフィールドレビューが行われました。

これは、オフサイドの反則となるプレーが行われる直前に相手競技者がボールに触れていたからです。相手競技者がボールに触れたことが、「ディフレクション」なのか、「意図的なプレー」なのか、といったことを判断するのは「主審の主観」に基づくため、このような時はオフサイドの判定でも主審がオンフィールドレビューを行います。
ちなみに、相手競技者が「セーブ」をした場合は、相手競技者が意図的にボールに触れてもオフサイドの状況が継続しますが、セーブとは「ゴールに入りそうな、またはゴールに近づいたボールを競技者が手や腕(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが触れた場合を除く)以外の体のいずれかの部分を用いて止める、または止めようとすること」なので、今回のスライディングはセーブとは言わないでしょう。
「意図的なプレー」なのか、「ディフレクション」なのか
主審は、オンフィールドレビューを行って、このスライディングを「意図的なプレーではないディフレクション」と判断したと考えられます。

確かに守備側競技者は、意識的にボールに向かってスライディングして足を出していますが、その結果ボールの行方をコントロールできる状況ではありません。誰かにパスを出すとか、タッチライン方向にクリアするといった、「意図的にボールをコントロールできるプレー」ではないため、「ディフレクション」の扱いになります。
そのため、脇坂選手はオフサイドの状況が継続していたと判断し、ゴールが取り消されました。
まとめ
「意図的なプレー」と「ディフレクション」の違いは、とっさに聞かれると私も分からなくなることがあります。このプレー、パッと見ではかなり難しいです。しかも主審がオンフィールドレビューを行ってオフサイドかどうかの判断をする事象はあまり見ることがないと思うので、なおさら疑問に思った人が多かったことと思います。
最終的な結論として、主審がこれをオフサイドとしたのは、私は適切な判定だったと思います。