numの野球・サッカーのルール解説

野球やサッカーの観戦をしていて、ルールが分からず「今のはなんでこういう判定なの?」と疑問に思うようなプレーに、競技規則から判定の理由についてアプローチします。

2026年度野球規則改正の27項目を解説。ハイブリッドポジションがOKに!

2025年11月20日、日本野球規則委員会から野球規則の改正について発表されました。
npb.jp

2026年度の改正は27項目。項目数にすると昨年をはるかに超えますが、影響の大きな改正項目もあれば、用語の整理程度の項目もあるし、「我が国では適用しない」ルールもあるので、改正内容をきちんと理解することが大切です。

当ブログでは、ルール本文を理解することを何よりも大切にしているので、改正内容をコンパクトにまとめた説明は他サイトでお願いすることとして、改正内容が発表された項目どおりに、かつ改正後のルール本文がどのようになるかを紹介する形で解説していきます。

野球規則の改正とは

日本の野球規則は、アメリカの"Official Baseball Rules"の改正を受けて、1年遅れで改正されます。「原文に忠実に」をモットーにしつつ、日本国内のどのカテゴリーでも適用されるルールとしてあるために、日本独自の【注】を設けるなどしたものが、『公認野球規則』として発表されます。

公認野球規則』は日本国内の全ての野球の試合で適用されるものであり、日本プロ野球にだけ適用されるものではないことに注意が必要です。

2026年度 野球規則改正の内容

今回の改正は以下のとおりです。

Ⅰ.2025年 米国オフィシャル・ベースボール・ルールズの改正に伴う規則改正

  1. 規則5.02(c) 野手の守備位置について

Ⅱ.米国オフィシャル・ベースボール・ルールズとの比較検討により再確認した項目の改正
(主にこれまで不記載としていた項目の追記および文章の修正)

  1. 規則5.06(c)(7)【原注】 野手がボールをユニフォームの中に隠した場合
  2. 規則5.07(a)(1) 用語「投球に関連する動作」
  3. 規則5.07(a)(2) 「ハイブリッドポジション」に関する規則の追記
  4. 規則5.07(d) 用語を「ストレッチ」に修正
  5. 規則5.09(b)(7) フェアボールに触れた走者がアウトになる場合
  6. 【規則5.10 ℓ 原注】 マウンドビジットの回数のカウントについて
  7. 6.01(a)(8) さようなら 用語「肉体的援助」
  8. 6.01(a)(8) 野手がボールを処理する行為をしているとき
  9. 6.02(a)(1) 「投球に関連する動作」の中断や変更をした場合

Ⅲ.その他、日本野球規則委員会で協議した項目の改正
(「プロ野球・プロフェッショナルリーグ」表現の削除、修正。【注】の追加、修正等)

(11)~(27)

では、それぞれの詳細を見ていきます。お目当ての項目がある方は、下の目次から直接該当項目に飛んでください。
※なお、これ以降の記述では、「日本の公認野球規則」のことは単に野球規則、「米国オフィシャル・ベースボール・ルールズ」(Official Baseball Rules)のことはOBRと記載します。

(1) 規則5.02(c) 野手の守備位置について

①(i)の「投球動作および」を削除する。

 内野手の守備位置については、次のとおり規定する。

(i) 投手が投手板に触れて、打者への投球動作および投球に関連する動作を開始するとき、4人の内野手は、内野の境目より前に、両足を完全に置いていなければならない。

 

②(ii)を次のように改める。(下線部を改正)

(iI) 投手が打者に対して投球のためにボールが手から離れたとき、4人の内野手のうち、2人ずつは二塁ベースの両側に分かれて、両足を位置した側に置いていなければならない。

 

③ペナルティ前段を次のように改める。

ペナルティ 本項に違反した内野手が、投球後最初にボールを触れた場合、打者はアウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられ、各走者もアウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。ただし、打者が安打、失策、その他で一塁に達し、しかも他の全走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、規則違反とは関係なく、プレイは続けられる。
 本項に違反した内野手が、投球後最初にボールを触れた内野手でなければ、投手の投球にはボールが宣告され、ボールデッドとなる。
 もし、本項に違反した後に、他のプレイ(たとえば、犠牲フライ、犠牲バントなど)があった場合は、攻撃側の監督は、そのプレイが終わってからただちに、違反行為に対するペナルティの代わりに、そのプレイを生かす旨を球審に通告することができる。

 

④【ペナルティ原注】を追加する。

【ペナルティ原注】本項のペナルティが宣告されてもプレイが続けられたときは、そのプレイが終わってからこれを生かしたいと監督が申し出るかもしれないから、球審はそのプレイを継続させる。打者走者が一塁を空過したり、走者が次塁を空過しても、〔5.06b3付記〕に規定されているように、塁に到達したものとみなされる。

 

この規則は、「大谷シフト」と呼ばれるような極端な守備シフトをとることを規制することを目的として、OBR2023で改正が行われました。簡単に言うと、遊撃手が二塁ベースより一塁側、二塁手が二塁ベースより三塁側に守備位置をとるようなことはできなくなり、野手の交代が伴わない限り、イニング中に入れ替わることも認められません。

今回の野球規則2026改正は、OBR2025改正を受けて、「原文に忠実に」であるために1年遅れで改正を適用したものですが、野球規則2026改正通知に記載されていない、大事なことがあります。

それは、野球規則2024改正時に、規則5.02(c)の末尾に添えられた日本独自の【注2】です。

5.02(c)
(中略)
【注2】我が国では、本項後段の内野手の守備位置については、適用しない。

今回の改正でこの【注2】が変更されていないため、
日本では「シフト禁止」ルールは引き続き適用されません。

ちなみにこのルールは、今回の改正によって(日本では適用されませんが)守備側チームがこの規則に違反したとき、3つの場合に分かれることになりました。

  • 規則違反した内野手が、投球後最初にボールに触れた
    → 打者とすべての走者に1個の安全進塁権
  • 規則違反した内野手が、投球後最初にボールを触れた内野手でない
    → 投手の投球にボールが宣告され、ボールデッド
  • ただし、他のプレイ(たとえば、犠牲フライ、犠牲バントなど)があった場合は、攻撃側に「監督の選択権」が認められる

このように、けっこう難解なので、MLBを観戦する方や野球ルールを勉強している方は、改めてこのルールをよく読んでおくことをお勧めします。

(2) 規則5.06(c)(7)【原注】 野手がボールをユニフォームの中に隠した場合

5.06(c)(7)【原注】の最終段落に次を追加する。

5.06(c) 次の場合にはボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許されるか、または帰塁する。その間に走者はアウトにされることはない。
(7) 投球が、捕手のマスクまたは用具、あるいは球審の身体やマスクまたは用具に挟まって止まった場合──各走者は進む。
【原注】 チップした打球が、球審に当たってはね返ったのを、野手が捕らえても、ボールデッドとなって、打者はアウトにはならない。チップした打球が、球審のマスクに挟まって止まっても、同様である。
 第3ストライクと宣告された投球が、捕手を通過して球審に当たったときは、ボールインプレイである。球審に当たってはね返ったボールが、地上に落ちる前に捕球されても、打者はただちにアウトにはならない。ボールインプレイであり、打者は一塁に触れる前に、身体または一塁に触球されて、初めてアウトになる。
 第3ストライクと宣告された投球または四球目の投球が、球審か捕手のマスクまたは用具に挟まって止まった場合、打者には一塁が与えられ、塁上の走者には1個の進塁が許される。
 野手が、走者をだます目的で意図的にボールをユニフォームの中(たとえばズボンのポケットなど)に隠した場合、審判員は〝タイム〟を宣告して、すべての走者に、そのような行為を行なった瞬間にすでに占有していたと審判員が判断した塁から少なくとも1個の塁を与える。

規則5.06(c)(7)既定のとおり、偶然にでも、マスクやプロテクターなどの用具に挟まったり、ユニフォームの中に入ったりした場合は、ボールデッドとなってすべての走者に1個の安全進塁権が与えられます。

過去に隠し球をしようとしてユニフォームの中にボールを入れた選手がいたのかもしれませんが、故意にユニフォームの中にボールを隠した場合も同じ規則が適用されるということです。OBRにはすでに記載があったようですが、野球規則にも明記されました。

(3) 規則5.07(a)(1) 用語「投球に関連する動作」

5.07(a)(1)を次のように改める。
① ①の冒頭を次のように改める。(下線部を改正)

5.07(a)(1) ワインドアップポジション
 投手は、打者に面して立ち、その軸足は投手板に触れて置き、他の足の置き場には制限がない。
 この姿勢から、投手は、
① 打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中断したり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
② 実際に投球するときを除いて、どちらの足も地面から上げてはならない。ただし、実際に投球するときには、自由な足(軸足でない足)を1歩後方に引き、さらに1歩前方に踏み出すこともできる。

 

② 【注】を次のように改める。(下線部を改正)

【注】 投手が投球に関連する動作を起こして、身体の前方で両手を合わせたら、打者に投球すること以外は許されない。したがって、走者をアウトにしようとして塁に踏み出して送球することも、投手板を外すこともできない。違反すればボークとなる。

 

改正前はどちらも「投球動作」と書かれていましたが、原文であるOBRの記述(any natural movement associated with his delivery of the ball to the batter)に合わせて用語を〝投球に関連する動作〟に修正したものと思われます。用語の修正のみで、規則の適用が変わる改正とは思えません。

(4) 規則5.07(a)(2) 「ハイブリッドポジション」に関する規則の追記

① ②の冒頭を次のように改める(下線部を改正)とともに、「(ストレッチとは、腕を頭上または身体の前方に伸ばす行為をいう)」を削除する。

5.07(a)(2) セットポジション
 投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる。
 この姿勢から、投手は、
① 打者に投球しても、塁に送球しても、軸足を投手板の後方(後方に限る)に外してもよい。
② 打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。

 セットポジションをとるに際して〝ストレッチ〟として知られている準備動作(ストレッチとは、腕を頭上または身体の前方に伸ばす行為をいう)を行なうことができる。しかし、ひとたびストレッチを行なったならば、打者に投球する前に、必ずセットポジションをとらなければならない。(以下略)

 

② 【注1】を次のように改める。(下線部を改正)

【注1】 (1)(2)項でいう〝中断〟とは、投手が投球に関連する動作を起こしてから途中でやめてしまったり、一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。

 

③【原注】の最終段落に次を追加するとともに、【注6】、【注7】を追加する。

【原注】 走者が塁にいない場合、セットポジションをとった投手は、必ずしも完全静止をする必要はない。
 しかしながら、投手が打者のすきをついて意図的に投球したと審判員が判断すれば、クイックピッチとみなされ、ボールが宣告される。6.02(a)(5)〔原注〕参照。
 塁に走者がいるときに、投手が投手板に軸足を並行に触れ、なおかつ自由な足を投手板の前方に置いた場合には、この投手はセットポジションで投球するものとみなされる。
 ただし、打者が打席に入る前に、投手がワインドアップポジションで投球する旨を審判員に伝えた場合には、前述のような投球姿勢であったとしても、ワインドアップポジションとして投球することができる。
 投手は、打者が打撃中であっても、(i)攻撃側チームにプレーヤーの交代があったとき、または(ii)走者の位置が変わったときは、次の投球を行なう前であれば、審判員にワインドアップポジションで投球する旨を伝えることができる。

 

【注6】ワインドアップポジションとして投球する旨を審判員に伝えた後であっても、攻撃側チームのプレーヤーが交代したり、走者の位置が変われば、セットポジションに戻すことができる。
【注7】アマチュア野球では、セットポジションに戻すときも、審判員にセットポジションで投球する旨を伝えなければならない。

 

今回の規則改正で最も注目されるポイントではないかと思われます。この改正は、2025年3月9日のバウアー投手の投球動作がボークと判定されたことが発端で、それゆえ一部報道では「バウアールール」とも呼ばれています。

当日の試合でバウアー投手がボークと判定されたのは、走者三塁でバウアー投手がこのような足の動かし方をしたことで、審判員が「セットポジションからワインドアップポジションに投球動作を変更した」と判断したことが理由です。

しかし、映像で確認すると、バウアー選手は投球前に「ワインドアップで投げる」と申告しており、MLBではこのように申告すれば、自由な足を前方においてもワインドアップポジションとして投球することができます。

この事象が起こった当初、私は「NPBMLBでのルールの解釈の違い」と思っていたのですが、後にこれは解釈の問題ではなくOBR本文に明記されているルールだったと知りました。

実はOBRには2017年に記載された内容だそうなのですが、「原文に忠実」なはずの『公認野球規則』には、2018年の改正でなぜか書かれていなかったのです。「原文に忠実」をモットーとするなら公認野球規則には当然書かれているべきことであり、「そんなルールがOBRに書かれていたのか!」と驚いた日本のアマチュア球審判は非常に多かったことと思います。そんなわけで今回の改正は、行われて当然のことだと捉えています。

また、この改正で一緒に付いた日本の野球規則独自の【注】は、「ワインドアップポジションで投げる」と通告した後に攻撃側の選手が交代したり、走者の位置が変わったりしたときにセットポジションに戻すことや、セットポジションに戻すときの通告について規定したものです。

よって、2026年から日本でも、アマチュア野球においても、ハイブリッドポジションを用いることが正式に認められます。


ハイブリッドポジションに関する解説は、以下のシリーズ記事でも整理しています。
あわせて読むことで、今回の改正の背景から実際の運用まで一通り理解できる構成になっています。

(5) 規則5.07(d) 用語を「ストレッチ」に修正

5.07(d)を次のように改める。(下線部を改正)

 投手が、準備動作を起こしてからでも、打者への投球動作を起こすまでなら、いつでも塁に送球することができるが、それに先立って、送球しようとする塁の方向へ、直接踏み出すことが必要である。

 投手が、ストレッチを起こしてからでも、打者への投球動作を起こすまでなら、いつでも塁に送球することができるが、それに先立って、送球しようとする塁の方向へ、直接踏み出すことが必要である。

原文であるOBR2025を確認してみると、

(d) Throwing to the Bases
At any time during the pitcher’s preliminary movements and until his natural pitching motion commits him to the pitch, he may throw to any base provided he steps directly toward such base before making the throw.

と書かれており、「原文に忠実」ならば「準備動作」のままでよいようにも思いますが、あえて「ストレッチ」に変えているので、改正(4)に出てきた「ストレッチ」の定義を削除した部分も原文を確認してみました。すると、

Before assuming Set Position, the pitcher may elect to make any natural preliminary motion such as that known as “the stretch.”

とあり、「ストレッチ」とは "any natural preliminary motion before assuming Set Position" となっています。野球規則委員会は、preliminary movements を 「ストレッチ」と意訳したようです。確かに、ストレッチの最中に牽制球を投げることはできますから、このほうが分かりやすいということでしょうか。

あるいは、〝投球に関連する動作〟も含め、投手が投球するまでの動作について、定義し直したのかもしれません。野球規則委員会の説明があるとありがたいですね。

(6) 規則5.09(b)(7) フェアボールに触れた走者がアウトになる場合

5.09(b)(7)を次のように改める。

①本文を次のように改める。(下線部を追加)

5.09(b) 走者アウト
 次の場合、走者はアウトとなる。
(7) 走者が、1人の内野手股間または側方を通過する前で、さらに他の内野手が守備する機会がない状態のフェアボールに、フェア地域で触れた場合。(5.06c6、6.01a11参照)
 この際はボールデッドとなり、打者が走者となったために次塁への進塁が許された走者のほかは、得点することも、進塁することも認められない。
 インフィールドフライと宣告された打球が、内野手を通過する前で、さらに他のいずれの内野手も守備する機会がないと判断される前に塁から離れている走者に触れたときは、打者、走者ともにアウトになる。

基本的に走者がフェアボールに触れたら「走者アウト」でいいのですが、規則5.06(c)(6)に、走者がフェアボールに触れてもアウトにならない場合として、

(B) 1人の内野手に触れないでその股間または側方を通過した打球にすぐその後方で触れても、このボールに対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審判員が判断した場合。

とあります。これと同様の表現が、走者をアウトにする場合の規則にも書かれることになりました。規則の適用が変わるものではありません。

 

②【注2】を次のように改め(下線部を改正)、【注3】を削除し、【注4】以下を繰り上げる。

【注1】 打者の打ったフェアボールが、野手に触れる前に走者に触れたときは、走者が守備を妨害しようとして故意に打球に触れた場合(併殺を行なわせまいとして故意に打球を妨害した場合を除く)と、走塁中やむなく触れた場合との区別なく、走者はアウトとなる。
 また、いったん内野手に触れた打球に対して守備しようとする野手を走者が妨げたときには、5.09(b)(3)によってアウトにされる場合もある。
【注2】 塁に触れて反転したフェアボールに走者が触れた場合、フェア地域またはファウル地域に関係なく、その走者はアウトになり、ボールデッドとなる。
【注3】 一度塁に触れて反転したフェアボールが、ファウル地域で走者に触れた場合は、その走者はアウトにはならず、ボールインプレイである。
【注】 本項でいう〝塁〟とは、飛球が打たれたときの投手の投球当時に走者が占有していた塁をいう。
【注】 インフィールドフライと宣告された打球が走者に触れた場合は、その走者が塁についていてもいなくても、ボールデッドとなる。

なんと、塁に触れて反転したフェアボールに走者が触れた場合の措置は、日米で異なっていました!改正の通知を一読しただけでは分かりにくいですよね。

フェア地域にいたかファウル地域にいたかで場合分けする必要がなく、走者がフェアボールに触れたらアウトでボールデッドと、規則適用がシンプルになります。

(7)【規則5.10 ℓ 原注】 マウンドビジットの回数のカウントについて

【5.10 ℓ 原注】の第5段落として次を追加する。

【5.10ℓ 原注】 監督(またはコーチ)が、捕手または内野手のところへ行き、その野手がそのままマウンドに行ったり、投手が、守備位置にいるその野手のところへ行ったときは、監督(またはコーチ)がマウンドに行ったものと同様に扱われる。ただし、1球が投じられた後、またはプレイが行われた後は、この限りではない。

 監督(またはコーチ)が、捕手または内野手のところへ行き、その野手が投手と相談するためにマウンドに行って、規則の適用をのがれようとしたり、規則を出し抜こうとするいかなる企ても、すべてマウンドへ行った回数に数えられる。

 コーチがマウンドに行って、投手を退け、新しく出てきた投手に指示を与えるために監督がマウンドに行ったときは、そのイニングで新しい投手のもとへ1度行ったことになる。

 監督がすでに1度投手のもとへ行っているので、同一イニングで同一投手へ、同一打者のときには、もう1度行くことはできないと審判員が警告したにもかかわらず、監督が行った場合、その監督は試合から除かれ、投手はただちに退かないでその打者がアウトになるか、走者になるまで投球し、その義務を果たした後に試合から退かなければならない。この場合、監督は、その投手は1人の打者に投球したら交代しなければならなのだから、リリーフ投手にウォームアップさせておかなければならない。リリーフ投手は、審判員の適宜な判断において、必要な準備投球が許される。

 監督またはコーチがマウンドに行った際、投手が他の守備位置に移ったかどうかに関係なく、そのイニングでその投手のもとへ1度行ったことになる。

 投手が負傷を受けたとき、監督がその投手のもとへ行きたいときには、審判員にその許可を要請することができる。許可があれば、マウンドに行く回数には数えられない。

追加された文章は何の話だか分かりにくいですね。

イニングの最中、A投手が登板しているときに監督またはコーチがマウンドに行った場合、

  • A投手が交代せず、引き続き登板する
  • A投手が投手以外の別の守備位置につき、別の投手が登板する

いずれの場合も、監督またはコーチがそのイニングでA投手のもとに1度行ったこととして数える、という意味です。

ちなみに、今回追記されたと思われるOBR Rule 5.10(l) Commentでは、第段落の記述にこうあります。

For purposes of this Rule 5.10(l), replacing the pitcher shall constitute one trip to that pitcher that inning, regardless of whether the manager or coach chooses to go to the mound, or whether the pitcher remains in the game at a different position on defense.

(拙訳)本規則5.10(ℓ)の目的上、投手の交代は当該イニングにおける投手への1回の訪問とみなす。監督またはコーチがマウンドに向かうか否か、あるいは投手が守備の別のポジションで試合に残るか否かを問わない。

また、「OBRと比較検討して再確認した項目」なのに「原文に忠実」に記載されていないと感じる点として、第段落の記述がすっぽりありません。

A manager or coach shall not be considered to have concluded his visit to the mound if he temporarily leaves the 18-foot circle surrounding the pitcher’s rubber for purposes of notifying the umpire that a double-switch or substitution is being made.

(拙訳)監督またはコーチが、ダブルスイッチまたは選手交代を行う旨を審判員に通知する目的で、投球板を囲んでいる18フィートの円い場所を一時的に離れる場合、マウンドビジットが終了したとはみなされない。

公認野球規則のモットーであるはずの「原文に忠実」とは何なのかと、個人的にはいささか疑問を感じる改正項目です。

(8)6.01(a)(8) さようなら 用語「肉体的援助」

6.01(a)(8)を次のように改める。(下線部を追加)

  三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合。

 三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、またはつかんだりして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁をアシストしたと審判員が認めた場合。

ベースコーチの「肉体的援助」はれっきとした公認野球規則記載の野球用語だったのですが、2025年6月29日の千葉ロッテ福岡ソフトバンク戦でボランコ選手の走塁で起こったベースコーチの肉体的援助でボランコ選手をアウトにする際、場内アナウンスで「肉体的援助」という用語を使ったことでざわつきました。

www.youtube.com

そこまでルールに明るくない野球ファンにはあまり聞きなれない言葉で強烈な違和感があったのかもしれません。Xでは「肉体的援助」がトレンド入りを果たすほどでした。

今回の改正で、公認野球規則上は「アシスト」という用語に変わりました。場内アナウンスはどうなるのでしょう。

「三塁ベースコーチが走者の帰塁をアシストしたため、守備妨害として走者をアウトにいたします」

という感じになるのでしょうか。

(9)6.01(a)(8) 野手がボールを処理する行為をしているとき

6.01(h)【付記】を次のように改め(下線部を改正)、末尾に【6.01h原注】として「定義50オブストラクション【原注】」を移行する。

 【付記】 捕手はボールを持たないで、得点しようとしている走者の進路をふさぐ権利はない。塁線(ベースライン)は走者の走路であるから、捕手は、まさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接捕手に向かってきており、しかも十分近くにきていて、捕手がこれを受け止めるにふさわしい位置を占めなければならなくなったときか、すでにボールを持っているときだけしか、塁線上に位置することができない。

【付記】 捕手はボールを持たないで、得点しようとしている走者の進路をふさぐ権利はない。塁線(ベースライン)は走者の走路であるから、捕手は、ボールを処理しようとしているときか、すでにボールを持っているときだけしか、塁線上に位置することができない。
6.01h原注 ここにいう〝野手がボールを処理する行為をしている〟とは、野手がまさに送球を捕ろうとしているか、送球が直接野手に向かってきており、しかも十分近くにきていて、野手がこれを受け止めるにふさわしい位置をしめなければならなくなった状態をいう。これは一に審判員の判断に基づくものである。野手がボールを処理しようとして失敗した後は、もはやボールを処理している野手とはみなされない。たとえば、野手がゴロを捕ろうとしてとびついたが捕球できなかった。ボールは通り過ぎていったのにもかかわらずグラウンドに横たわったままでいたので、走者の走塁を遅らせたような場合、その野手は走塁妨害をしたことになる。

「末尾に【6.01h原注】として移行」というのがどんな形になるのかきちんと理解できていないのですが、恐らくこういう風に野球規則に掲載されるのだろうと想像しています。

(10)6.02(a)(1) 「投球に関連する動作」の中断や変更をした場合

(10)6.02(a)(1)を次のように改める。(下線部を改正)

 6.02(a) ボーク
 塁に走者がいるときは、次の場合ボークとなる。

(1)  投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。

6.02(a) ボーク
 塁に走者がいるときは、次の場合ボークとなる。

(1) 投手板に触れている投手が、投球に関連する動作を起こしながら、中断したり、変更したりして投球を完了しなかった場合。

改正項目(4)でも触れたように、規則5.07(a)(2) の【注1】に次の記載がありました。

〝中断〟とは、投手が投球に関連する動作を起こしてから途中でやめてしまったり、一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。

これに該当した場合はボークとなるということです。規則条文の書きぶりは変わりましたが、ストレッチは投球に関連する動作に含まれるでしょうから、ストレッチを中断した場合も含めて、この規則の運用が変わる改正であるとは思えません。

(11)(12)バットに関する規則

(11)3.02(a)を次のように改める。

①【付記】の「プロフェッショナル野球(公式試合および非公式試合)」を削除する。

【付記】 接合バットまたは試作中のバットは、製造業者がその製造の意図と方法とについて、規則委員会の承認を得るまで、プロフェッショナル野球(公式試合および非公式試合)では使用できない。

 

②【注1】を次のように改める。(下線部を改正)

【注1】 NPBでは、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットは、コミッショナーの許可があるまで使用できない。

もとは「我が国のプロ野球」では…でしたが、日本国内のプロ野球NPBだけではないので、NPBと記述したということでしょう。

 

③【注2】を次のように改める。(下線部を改正)

 【注2】 アマチュア野球では、所属する団体が連盟が公認すれば、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットの使用ができる。ただし、接合バットについては、バット内部を加工したものは使用できない。(6.03a5参照)

【注2】 アマチュア野球では、使用できるバットについては、所属する団体の規定に従う。

規則本文であれこれ書くのはやめて、各団体の内規に任せるということですね。それでよいと思います。

(12)3.02(d)を次のように改める。

3.02(d) 着色バットは、規則委員会の認可がなければ使用できない。

【注1】 我が国のプロ野球では、着色バットの色については別に定める規定に従う。
【注2】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。

【注】我が国では、所属する団体の規定に従う。

【3.02注】我が国では、本項(a)、(b)および(d)または各所属団体の規定に違反しているバットは試合から取り除かれ、そのバットを使用した場合は(c)〔付記〕および同〔原注〕後段を適用する。なお6.03(a)(5)規定のいわゆる改造バットについては、同項記載のとおりである。

これも、所属する団体の規定に従う、として規則本文であれこれ書かないが、違反したバットが使われたときは既定のとおりの対応をするということですね。それでよいと思います。

(13)規則3.03(j) ユニフォームへの宣伝、広告について

3.03(j)【注1】を次のように改める。(下線部を改正)

ユニフォームのいかなる部分にも、宣伝、広告に類する布切れまたは図案をつけてはならない。

【注1】 NPBでは、本項を適用しない。
【注2】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。

これももとは「我が国のプロ野球」では…でしたが、日本国内のプロ野球NPBだけではないので、NPBと記述したということでしょう。

(14)規則3.08 ヘルメットについて

3.08本文の「プロフェッショナルリーグでは、」と(b)の「メジャーリーグの」を削除する。

プロフェッショナルリーグでは、ヘルメットの使用について、次のような規則を採用しなければならない。

(a) プレーヤーは、打撃時間中および走者として塁に出ているときは、必ず野球用ヘルメットをかぶらなければならない。
(b) メジャーリーグプレーヤーは、片耳フラップヘルメット(プレーヤーが両耳フラップヘルメットを選んでもよい)を着用しなければならない。
【注】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。
(c) 捕手が守備についているときは、捕手の防護用のヘルメットを着用しなければならない。
(d) ベースコーチは、コーチスボックスにいるときには、防護用のヘルメットを着用しなければならない。
(e) バットボーイ、ボールボーイまたはバットガール、ボールガールは、その仕事にたずさわっているときは、防護用の両耳フラップヘルメットを着用しなければならない。
【3.08原注】 審判員は各項に対する規則違反を認めた場合には、これを是正するように命じる。審判員の判断で、適宜な時間がたっても是正されない場合には、違反者を試合から除くことができる。
【3.08注】 アマチュア野球では、所属する団体の規定に従う。

今回の改正で削除となる内容は、いずれもOBR2025に記載のある内容です。「原文に忠実に」ではないのでしょうか。本規則の末尾にある【注】を、お得意の「我が国では、所属する団体の規定に従う」にすればよいのに、と非常に疑問に思う改正です。

また、その【3.08注】が現時点で「アマチュア野球では、所属する団体の規定に従う」になっているので、3.08(b)の【注】が不要であるように個人的には思います。

(15)規則3.09 商業的宣伝について

3.09本文の「本条は、プロフェッショナルリーグだけに適用される。」と、【付記】の「プロフェッショナルリーグ用の」と「プロ野球」を削除し、【注4】を次のように改める。

 ベース、投手板、ボール、バット、ユニフォーム、ミット、グラブ、ヘルメットその他本規則の各条項に規定された競技用具には、それらの製品のための不適当かつ過度な商業的宣伝が含まれていてはならない。
 製造業者によって、これらの用具にいるされる意匠、図案、商標、記号活字および用具の商品名などは、その大きさおよび内容において妥当とされる範囲のものでなければならない。
本条は、プロフェッショナルリーグだけに適用される。

【付記】 製造業者が、プロフェッショナルリーグ用の競技用具に、きわだった新しい変更を企図するときには、その製造に先立ちプロ野球規則委員会にその変更を提示して同意を求めなければならない。

(中略)

【注4】 本条は、アマチュア野球でも適用することとし、所属する連盟、協会の規定に従う。 我が国では、所属する団体の規定に従う。

この項目で削除となる内容も、いずれもOBR2025に記載のある内容です。【注4】をこのように変えただけで日本国内としては十分対応できていると思うのですが、削除した理由は何なのでしょう。不思議です。

(16)規則4.03(e) 試合の打ち切りについて

4.03(e)に【注】を追加する。

4.03(e) (前段略)
 球審はプレイを中断した後、少なくとも30分を経過するまでは、打ち切りを命じてはならない。また球審はプレイ再開の可能性があると確信すれば、一時停止の状態を延長してもさしつかえない。

【注】我が国では、天候状況によっては、30分を待つことなく試合を打ち切ることができる。

試合打ち切りの判断についてです。必ず30分を経過しないと打ち切りを命じられないとするよりは合理的な判断のできる【注】だと思います。

(17)規則5.08(b)【注】サヨナラ押し出しで走者が空過した場合

5.08(b)【注】の最終段落を次のように改める。(下線部を改正)

 【注】 たとえば、最終回の裏、満塁で、打者が四球を得たので決勝点が記録されるような場合、次塁に進んで触れる義務を負うのは、三塁走者と打者走者だけである。三塁走者または打者走者が適宜な時間がたっても、その義務を果たそうとしなかった場合に限って、審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す。
 打者走者または三塁走者が進塁に際して塁に触れ損ねた場合も、適宜な時間がたっても触れようとしなかった場合に限って、審判員は、守備側のアピールを待つことなく、アウトの宣告を下す。

【注】 (前段略)
 打者走者または三塁走者が進塁に際して塁に触れ損ねた場合は、守備側のアピールがあったときだけ、審判員はアウトの宣告を下す。

しれっと規則解釈に影響のある改正を入れてきました!

サヨナラ押し出しのときに限り適用される特殊ルールで、三塁走者と打者走者が進塁義務を果たさなかった場合は、審判員が自ら進んでアウトにするというものなのですが、「進塁したが空過だった場合はアピールプレイ」に解釈が変更になりました。

確かに、他の規則でも空過は進塁義務をひとまず果たしたものとみなす解釈ですから統一性はありますね。もしかしてMLBに解釈を確認したとか、そういうことがあったのでしょうか。

(18)規則5.10(e) 臨時代走(コーティシーランナー)について

5.10(e)に【注】を追加する。

5.10(e) 打順表に記載されているプレーヤーは、他のプレーヤーの代走をすることは許されない。
【原注】 この規定は、〝コーティシーランナー〟(相手の好意で適宜に許される代走者)の禁止を意味している。試合に出場しているプレーヤーは、他のプレーヤーのために、コーティシーランナーになることを許されず、いったん試合から退いたプレーヤーも同様である。打順表に記載されていないプレーヤーでも、一度走者として出たならば、代わって出場したプレーヤーとみなす。
【注】アマチュア野球では、所属する団体の規定に従う。

高校野球で攻撃側選手に不慮の事故などが起き、治療のために試合の中断が長引く可能性があるときに適用されている臨時代走がまさにこれに該当します。すでに制度として確立していますが、確かに、この【注】がないと制度自体が規則違反です。

(19)規則5.10(g)(2) イニング最初の投手の義務について

5.105.10(g)(2)に【注】を追加する。

5.10(g) 最小限必要とする打者への投球

(2) イニングの初めに準備投球を行った投手は、少なくともそのときの第1打者(またはその代打者)がアウトになるか一塁に達するまで投球する義務がある。
 ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以降投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
【注】我が国では、本項にある〝イニングの初めに準備投球を行なった投手〟を〝イニングの初めに投手が、ファウルラインを越えてしまえば〟と置きかえて適用する。

マウンドに立って準備投球を行なった投手ではなく、ファウルラインを超えたら、という解釈にするということです。OBRのほうが猶予があるということになりますね。

(20)規則5.10(k) ベンチに入ることが認められる人について

5.10(k)【注2】を次のように改める。

5.10(k) 両チームのプレーヤーおよび控えのプレーヤーは、実際に競技にたずさわっているか、競技に出る準備をしているか、あるいは一塁または三塁のベースコーチに出ている場合を除いて、そのチームのベンチに入っていなければならない。
 プレーヤー、監督、コーチ、トレーナーおよび試合中にベンチやブルペンに入ることを許されたクラブ関係者は、実際に競技にたずさわっているか、競技に出る準備をしているか、その他許される理由以外で、競技場に出ることはできない。
(中略)
【注2】 ベンチあるいはダッグアウトに入ることのできる者に関しては、プロ野球では各リーグの規約によって定め、アマチュア野球では協会、連盟ならびに大会などの規約に基づいて定めている。

5.10(k) 
(中略)
【注2】 我が国では、ベンチあるいはダッグアウトに入ることのできる者については、所属する団体の規定に従う。

改正前の【注2】の記述はくどくどと書いてある印象でした。この記述になったことですっきりとして分かりやすくなったと思います。

(21)規則5.10(ℓ) 監督・コーチがマウンドに行ける回数

5.10(ℓ)冒頭の「プロフェッショナルリーグは、」を削除する。

5.10(ℓ) 監督・コーチがマウンドに行ける回数
 プロフェッショナルリーグは、監督またはコーチが投手のもとへ行くことに関して、次の制限を適用しなければならない。
(以下略)

この項目で削除となる内容も、OBR2025には記載のある内容です。

意図はわかります。どのカテゴリーでもこのルールを守りなさい、という意味なのでしょうが、モットーである「原文に忠実に」でなくてもよいのでしょうか。

(22)【7.02注】サスペンデッドゲーム(一時停止試合)について

【7.02注】を次のように改める。

【7.02注】 我が国では、所属する団体の規定に従う。

【7.02注1】NPBでは、本項を適用しない。

【7.02注2】アマチュア野球では、所属する団体の規定に従う。

NPBサスペンデッドゲームをしないようです。

(23)8.01(b) 審判員の資格と権限について

8.01(b)を次のように改める。(下線部を改正)

8.01(b) 各審判員は、所属する団体の代表者であり、本規則を厳格に適用する権限を持つとともに、その責にも任ずる。審判員は、プレーヤー、コーチ、監督のみならず、クラブ役職員、従業員でも、本規則の施行上、必要があるときには、その所定の任務を行なわせ、支障のあるときはには、その行動を差し控えさせることを命ずる権限と、規則違反があれば、規定のペナルティを科す権限とを持つ。

この部分、OBR2025には"Each umpire is the representative of the league and of professional baseball," と書いてありますので、またも「原文に忠実」な改正ではありません。

とはいえ、「審判員は所属する団体の代表者」という考え方は大切だと思いますので、これはこれでよいのだろうと思います。

(24)【9.22注】各最優秀プレーヤー決定の基準

【9.22注】を次のように改める。(下線部を改正)

【9.22注】 我が国のプロ野球では、〝組まれている試合総数〟を〝行なった試合数〟に、〝マイナーリーグ〟を〝イースタン・リーグおよびウエスタン・リーグ〟に置きかえて適用する。数の算出にあたり、端数は本条(a)(b)各[原注]に準ずる。

【9.22注】 NPBでは、〝組まれている試合総数〟を〝行なった試合数〟に、〝マイナーリーグ〟を〝ファーム・リーグ〟に置きかえて適用する。数の算出にあたり、端数は本条(a)(b)各[原注]に準ずる。

これも日本国内のプロ野球NPBだけではないことからの書き換えでしょう。

(25)(26)用語「クイックピッチ」

(25)定義38(2)の「リターン」を削除する。
(26)定義64の「RETURN」と「リターン」を削除する。

QUICK RETURN Pitch「クイックリターンピッチ」
→QUICK Pitch「クイックピッチ」

OBR2025にこの修正はありませんが、実際、規則5.07(a)(b)や6.02(a)(5)で用いられている用語はクイックピッチなので、これはどちらかというとOBRの不具合でしょう。

(27)規則全体で用いられている「打者走者」とすべき「打者」の用語

次の項目の「打者」の表記を「打者走者」に改める。

5.06(b)(4)(G)【規則説明】

【規則説明】 悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づくものであっても、打者走者を含む各走者が少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、その悪送球が内野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

5.06(b)(4)(I)の4行目

(I) 四球目、三振目の投球が、捕手のマスクまたは用具、あるいは球審の身体やマスクまたは用具に挟まって止まった場合、1個の塁が与えられる。
 ただし、打者の四球目、三振目の投球が(h)および(i)項規定の状態になっても、打者走者には一塁が与えられるにすぎない。

5.08(b)の4行目

5.08(b)  正式試合の最終回の裏、または延長回の裏、満塁で、打者が四球、死球、その他のプレイで一塁を与えられたために走者となったので、打者とすべての走者が次の塁に進まねばならなくなり三塁走者が得点すれば勝利を決する1点となる場合には、球審は三塁走者が本塁に触れるとともに、打者走者が一塁に触れるまで、試合の終了を宣告してはならない。

5.09(b)(1)(2)【原注】1つ目の例の3行目

例──0アウトまたは1アウトで、同点の最終回、走者一塁のとき、打者が競技場の外へサヨナラ本塁打を打った。一塁走者は、二塁を過ぎてから、本塁打で自動的に勝利が決まったと思い込み、ダイヤモンドを横切って自分のベンチに向かった。この間、打者走者は、本塁に向かって進んでいたような場合、走者は、〝次塁に進もうとする意志を放棄した〟という理由で、アウトを宣告され、打者走者は各塁を踏んで行って本塁打を生かすことが許される。もし、2アウト後ならば、本塁打は認められない。(5.09d参照)。
 これはアピールプレイではない。

5.09(b)(6)【原注】の5行目と8行目

【原注】 オーバースライド、またはオーバーランは二塁および三塁で起こり、一塁ではこの状態は起こらない。
 たとえば、0アウトまたは1アウトで走者一・二塁、もしくは一・二・三塁とする。打球は内野手に飛び、その内野手はダブルプレイを試みた。一塁走者は二塁への送球より早く二塁に触れたが、オーバースライドした。ボールは一塁にリレーされ、打者走者はアウトになった。一塁手は、二塁走者が離塁しているのを見て二塁に送球して、その走者をアウトにしたが、その間に、他の走者は本塁に入った。〔問〕これはフォースプレイか。打者走者が一塁でアウトになったとき、フォースプレイでなくなったのか。このプレイ中に、二塁で走者がアウトにされて第3アウトになる前に、本塁に入っていた走者の得点は認められるか。〔答〕フォースプレイではなく、タッグプレイであるから、得点は記録される。

5.09(c)(2)【原注】2つ目の例の2行目

例──打者が遊撃手にゴロを打ち、遊撃手はスタンドに飛び込む悪送球をした(ボールデッド)。──打者走者は一塁を空過したが、悪送球によって二塁が与えられた。打者走者は、審判員によって二塁が与えられても、二塁に進む前に一塁に触れなければならない。

9.05(b)(4)

9.05(b)(4) 打者走者が一塁でアウトになるだろうと記録員が判断したとき、打球を扱った野手が先行走者をアウトにしようとして行なった送球または触球行為などが不成功に終わった場合。

9.12(f)(1)①

9.01(f)(1) 打者に対する四球目が暴投または捕逸となったために、打者または走者が進塁して、次のどれかに該当した場合には、四球とともに暴投または捕逸を記録する。
 ① 打者走者が一挙に二塁に進んだ場合。

※ちなみに、この冒頭文も「打者走者または走者が進塁して、」じゃないんですかね?

定義28「フィールダースチョイス」

──フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為をいう。また、(a) 安打した打者走者が、先行走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して、1個またはそれ以上の塁を余分に奪った場合や、(b) ある走者が、盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して進塁した場合や、(c) 盗塁を企てた走者が守備側チームが無関心のためになんら守備行為を示さない間に進塁した場合などにも(9.07g)、これらの打者走者または走者の進塁を記録上の用語として野手選択による進塁という。

※ちなみに、テレビなどの実況では「フィルダースチョイス」と言われることが多い用語ですが、この用語は英語で "Fielder's Choice" なので、野球規則の定義のとおり、フィールダース チョイス が正しいです。

定義30「フォースプレイ」【原注】1つ目の例の2行目と6行目

例──1アウト満塁、打者一塁に強いゴロを放ったが、一塁手がこれを止めてただちに塁に触れ、打者走者をアウトにすれば、フォースの状態でなくなるから、二塁に向かって走っている走者は触球されなければアウトにはならない。したがって、一塁走者が二塁で触球アウトになる前に、二塁、三塁にいた走者が本塁を踏んだ場合には、この得点は認められる。しかし、これに反して、ゴロを止めた一塁手がただちに二塁に送球して一塁走者をフォースアウトにした後、さらに一塁への返球で打者走者もアウトにして3アウトとなった場合には、二塁、三塁の走者が本塁を踏んでいても得点とは認められない。

OBRを確認してみたところ、今回の修正箇所は全て "batter-runner" と書かれていました。

終わりに

今回の改正項目で私が特に重要だと思うのは、やはりハイブリッドポジションが認められるようになったということだと思いますが、その理由が実は野球規則が「原文に忠実」ではなかったからというのが驚きでした。

今回こうしてみてみると、野球規則が「原文に忠実に」をモットーとしている割には案外OBRどおりではないところがあって、今回の改正で是正につながった項目(「野手がボールをユニフォームの中に隠した場合」が野球規則には書かれていなかったことや、「塁に触れて反転したフェアボールに走者が触れた場合」が日米で解釈が異なっていたこと)があったのはよかったです。

だいぶ長くなりましたが、この記事をきっかけに野球規則に関心を持ってもらえれば幸いです。

最後に、本としての『公認野球規則』は、例年3月末ごろに発売されます。野球を愛する人は、是非手元で正しいルールを確認できるようにしておきましょう。