
高校野球の地方大会などでは、「コールドゲーム」という用語を耳にすることがあります。
途中打ち切りとなる試合のことだと何となくわかっている方も多いかと思いますが、全国大会では聞きませんよね。どういうルールになっているのでしょう。
※2025/8/11、公認野球規則2025の改正に対応させました
コールドゲーム(called game)とは
球審は、試合終了を宣告するときに〝ゲーム〟と宣告します(ゲームセット、とは言いません)。
コールドゲームは、英語でcalled gameと書きます。〝ゲーム〟とcall(宣告)され、球審に打ち切りを命じられた試合のことを、コールドゲームといいます。
途中で打ち切りになる理由は、大きく分けて2種類あります。
- 天候や自然災害、球場の設備の故障などでこれ以上試合を続けるのが難しいと判断された場合。
- 大会規定により、規定の回に達したときに一定の得点差が開いた場合。
天候不良などによるコールドゲーム
公認野球規則では、上記の「1.」について規則7.01(c)に規定があります。
公認野球規則7.01(d)
球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が次に該当する場合、正式試合となる。
(1) 5回の表裏を完了した後に、打ち切りを命じられた試合。(両チームの得点の数には関係がない)
(2) 5回表を終わった際、または5回裏の途中で打ち切りを命じられた試合で、ホームチームの得点がビジティングチームの得点より多いとき。
(3) 5回裏の攻撃中にホームチームが得点して、ビジティングチームの得点と等しくなっているときに打ち切りを命じられた試合。
この規則により、プロ野球においては試合成立を5回終了としています。
なお、正式試合となる前に試合を打ち切らなければならない場合、球審は〝ノーゲーム〟と宣告します。
得点差によるコールドゲーム
「2.」については、あくまでも各大会における規定であり、公認野球規則には「何回までに何点差がついたらコールドゲーム」のような定めはありません*1。
高校野球の大会規定
高校野球の大会規定については、高野連が、高校野球特別規則において次のように定めています。全国大会につながる各地方大会では、得点差によるコールドゲームはこれによって運用されています。
高校野球特別規則21. 得点差コールドゲーム
正式試合となるコールドゲームを採用する場合は、5回10点、7回7点と統一する。ただし、選抜高等学校野球大会、全国高等学校野球選手権大会、全国高等学校軟式野球選手権大会では適用しない。
春のセンバツや夏の甲子園において得点差によるコールドゲームがないのは、このように規定されているからです。
得点差コールドゲームのルールを設ける理由
高校野球のように、1つの球場で1日に3〜4試合実施するためにはテンポよく試合が進行することが必要です。
しかし、トーナメント方式という一発勝負(負けたら終わり)の形式で行われる上に、初戦の相手は抽選で決まるため、実力差が大きくあるチームがあたって、四球が続いたり、なかなかアウトが取れなかったりして、試合が次の回に進まないことも想定されます。
そのため、得点差コールドゲームのルールを設け、一定の得点差がついた場合はそこで打ち切ることで、円滑な大会運営、選手の体力面や精神面での負担軽減を図っています。
サスペンデッドゲーム(一時停止試合)
後日、その続きを行なうことにして、一時停止された試合を、サスペンデッドゲーム(一時停止試合)といいます。
サスペンデッドゲームについて定めた規則は、7.02にあります。
公認野球規則7.02
(a) ポストポンドゲーム(開始前に中止、延期された試合)やサスペンデッドゲーム(以下の状況で打ち切られた試合)は、開始または再開して完了できるよう、直ちに予定されなければならない。
(1) 正式試合となる前。
(2) 両チームの得点が等しい。
(3) イニングの途中で、そのイニングが終了する前に、ビジティングチームが1点またはそれ以上の得点をして、同点またはリードを奪ったが、ホームチームが奪い返していない。
(f) 継続試合は、元の試合の停止された個所から再開しなければならない。すなわち、停止試合を完了させるということは、一時停止された試合を継続して行なうことを意味するものであるから、両チームの出場者と打撃順は、停止されたときと同一にしなければならないが、規則によって認められる交代は、もちろん可能である。したがって、停止試合に出場しなかったプレーヤーならば、継続試合に代わって出場することができるが、停止試合にいったん出場して他のプレーヤーと代わって退いたプレーヤーは、継続試合には出場することはできない。停止された試合のメンバーとして登録されていなかったプレーヤーでも、継続試合のメンバーとして登録されれば、その試合には出場できる。さらに、継続試合の出場資格を失ったプレーヤー(停止状態に出場し、他のプレーヤーと代わって退いたため)の登録が抹消されて、その代わりとして登録された者でも、継続試合には出場できる。【7.02注】 我が国では、所属する団体の規定に従う。
MLBでは2024年シーズンのOfficial Baseball Rules改正から、何らかの理由で試合を打ち切ることになった場合、原則としてサスペンデッドゲームとすることとなりました。日本の公認野球規則は、2025年にOBR2024に追従した規則改正が行われ、一時停止試合の運用については「所属する団体の規定に従う」となっています。
高校野球における「継続試合」
【7.02注】記載のとおり、継続試合の運用については「所属する団体の規定に従う」となっています。
高校野球は、2022年から天候不良によるノーゲームやコールドゲームの運用を廃止し、また、サスペンデッドゲーム(規則 7.02)を適用せず、中断という形をとることとなり、「継続試合」について「高校野球特別規則」で次のように定めています。
高校野球特別規則22. 継続試合
高校野球ではサスペンデッドゲーム(規則 7.02)は適用せず、天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、継続試合として翌日以降に試合を行う。
(1) 略
(2) 継続試合の対象は以下の通りとする。
天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、行われた回数に関係なく、翌日以降に勝敗を決する(通常は9回、タイブレークになった場合も含む)まで継続して試合を行う。(3) 継続試合の運用は以下の通りとする。
① 試合が停止した個所から再開する。
② 両チームの出場選手と打撃順は、停止したときと全く同一にしなければならないが、規則によって認められる交代は可能である。
③ 停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手は継続試合に出場することは出来ない。
④ 継続試合の前には、確認のためオーダー用紙の交換を行う。
(a) 試合が停止した時の出場選手をオーダー用紙に記載する。
(b) 出場選手以外の登録選手は控え選手欄に記載する。なお、停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手については、名前の上に二重線を引く。
高校野球はトーナメント方式の一発勝負で行うことから、ゲリラ豪雨などの急な悪天候があっても、できる限り9回まできちんと試合を行えるようにするという配慮や、一方でノーゲーム・再試合としないことで、選手の負担を軽減するねらいもあるようです。
なお、(3)①~③に定められているルールは、7.02(f)と同じ趣旨の内容です。一時中断状態からの試合再開なのですから当然といえば当然ですが…
まとめ
天候や災害、設備の故障の理由などで試合が続行できなくなった場合、大会規定で規定の回に達したときに一定の得点差が開いた場合に、球審が打ち切りを命じた試合をコールドゲームといいます。
高校野球では、得点差によるコールドゲームは地方大会で行っていますが、甲子園大会では行っていません。また、2022年から、天候等が理由で試合続行が困難になったときは、コールドゲームではなく、継続試合を行っています。
野球観戦のお役に立てれば幸いです。